成功を心に誓い 2
それにしても友人の棹影が結核にかかり、いよいよ死ぬという段になってふともらすことばは、同時に小説を通して、犀星が母にたずねた最初のことばではなかったかという気がするのです。
「僕だって愛されていると思うが、なぜか信じられなくなってね」。
作家の号にも、それぞれに由来があっておもしろいものです。
たとえば鏡花は「鏡花水月」(美しいがそれを手中にすることはできない)の比喩を略しています。
秋声は、多分発句を作っていた時に、といっていますから、季題「秋の声・秋声」(秋の気を知らせる声音)からつけたもの。
犀星の場合は、既に、金沢出身で詩人として名の高かった国府犀東(昭和25年、77歳没)にならい、わが家は犀川の西に在り、の意を通わせたものといわれています。
しかしまた、明日に賭ける青年らしいその夢を「星」に託したものでもあったでしょう。